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しろいあさ

白い朝

豊島 与志雄

――「正夫の童話」――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,920 字 · 35 页

青空文庫

いろいろなことで、探索やら勧誘やらに、今日、両派の人がそれぞれやってくる筈なんです。

「どっちが先に来るか、それが重大なんだよ。」とチビは云いました。

「どっちが先だっていいじゃないか。おじさんはいないよ。」と正夫は云いました。

「知ってるよ。だが、先に来た方に、おじさんはきっと味方するよ。」

ばかげたことで、チビらしい考え方です。けれど、必ずそうだとチビは断言します。先に来た方に味方する……そこには何か秘密な匂いがあります。「おじさんはそういう人だよ、」とだけチビは云いましたが、そうすると、芝田さんはチビの暗示でも受けてるのでしょうか。

正夫がなお尋ねようとすると、「あ、いけない、」とチビは頭をひっこめて、逃げていきました。駒井さんが戻って来たのです。

駒井さんは、ちょっと元気づいてるようです。頬にも赤みがさしています。

「一人で、退屈だったでしょう。今来たひと、金子さんのお母さんですよ。金子さんを、ご存じですか。」

正夫はそんな人を知りません。

「お話をきいてみると、感心なかたですよ。」

金子というのは、今年、大学の法科を出た青年です。時々芝田さんのところへも来たことがあり、就職の世話をたのんであったのです。