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しろいくも
白い雲
小川 未明
「お話の木」1937(昭和12)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,755 字 · 16 页
先のとがった森影が、まぶしい日の光に霞んでいて、遠くの地平線には、白い雲が頭をもたげていました。
三人のおじさんたちは、石をそこへ下ろすと、またトラックを運転して、原っぱの中をどこへとなく消えてしまったのです。
「あのおじさんたちは、いい人たちだな。」
「この石は、遠いところからきたのだよ。」
「トンネルを掘るときは、ダイナマイトで、岩を砕くのだってね。」
「ああ、ド、ドーン! すごいだろうな。」
「いまのおじさんは、ラジオのおじさんに似ているだろう。」
「ちがうわ。」
「似ていたよ。」
「そう思うのは、敏ちゃんだけよ。」
石山の周囲で、こんなことをいっていると、また、ゴーッ、ゴーッと、トロッコが、風を切って走ってくる音がしました。ここからは、草の間に見えつ、隠れつしている細いレールは、頼りなげな二本の火ばしのようにしか見えなかったのです。
小砂利をいっぱい積んだ箱の上に、先刻のどなった、元気な若者が突っ立っていました。敏ちゃんは、握っていた石を手から放して、その方を振り向いていると、男は、なにかいいたげなようすをして、こちらをにらんでいたが、ちょうどカーブへさしかかった途端に、調子づいているトロッコは、はっと若者が気づいたときには、もう脱線して、止まってしまったのでした。