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はっけっきゅう
白血球
豊島 与志雄
「良婦の友」1921(大正10)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,538 字 · 24 页
然し明るい電燈をつけておいても、夜になると、清はその室を恐がって中にははいれなかった。秋子までが変に苛ら苛らしていた。
「とにかく、このままではいけない。どうにかしなくては……。」
彼は考えあぐんだ。
所へ、思いがけなく……実は心待ちにしていたのだが、中井刑事が訪れて来た。
その日曜の朝をぼんやりしていた晋作は、驚喜の余り飛び上って、自身で玄関まで出迎えた。
刑事の顔も、彼のに劣らず輝いていた。左の手先に軽くソフト帽を抱えて、足を心持ちふんばり加減につっ立ち、引緊めた浅黒い顔の皮膚の下には、晴々とした笑みが溢れていた。
二人は親しい挨拶を交わした。
然し、二階の座敷に通されると、俄に刑事は厳粛な態度に変った。半ば吸いさしの朝日を静に火鉢の灰にさして、一度に凡てのことを考えめぐらすような眼付をした。
「実は、あなたへお知らせすべきかどうか、少なからず迷ったのですが、怪しい噂を今迄平気でいられた所から考えて、申上げても別段騒がれることもないと思ったものですから、それにあの時のお頼みもありますし、定めしお待ちになってることと思ったものですから、旁々伺ったような次第です。