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ひゃくしょうのゆめ
百姓の夢
小川 未明
「女性日本人 4巻1号」1923(大正12)年1月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 7,278 字 · 15 页
それで、小間物屋に入って、らっぱに、笛にお馬に、太鼓を買いました。二人の子供らに、二つずつ分けてやろうと思ったのであえいます。
この日も、また寒い日でありました。百姓は、たびたび入った居酒屋の前を通りかかると、つい金を持っているので、一杯やろうという気持ちになりました。
彼は、居酒屋ののれんをくぐって、ベンチに腰をかけました。そして、そこにきあわしている人たちを相手にしながら酒を飲みました。しまいには、舌が自由にまわらないほど、酔ってしまいました。
戸の外を寒い風が吹いていました。いつのまにか日は暮れてしまったのであります。
「今日は、牛を引いていないから世話がない。俺一人だから、のろのろ歩く必要はない。いくらでも早く歩いてみせる。三里や四里の道は、一走りに走ってみせる。」と、自分で元気をつけては、早く帰らなければならぬことも忘れて、酒を飲んでいました。
彼は、燈火がついたのでびっくりしました。しかし酔っているので、あくまでおちついて、すこしもあわてませんでした。
やっと、彼は、その居酒屋から外に出ました。ふらふらと歩いて、町を出はずれてから、さみしい田舎道の方へと歩いていきました。