轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ひゃくあしちがい

百足ちがい

山本 周五郎

「キング」大日本雄辯會講談社、1950(昭和25)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,491 字 · 56 页

青空文庫

噂に出ていたんだが、なにしろ側用人とまでは思い及ばなかったが、殿はやはり中興といわれるだけ御鑑識の高いお方で、それにはわれわれも御敬服しておるのだが」

ここでもまた側用人という言葉が出た。唐川のはおべんちゃらとしても、加久平は末席ながらも老職であるし、おせじを遣うような必要もない。そうだとすれば、……又四郎はこう気がつき、相手の饒舌の隙をみて反問した。

「私が御側用人に出世したとか仰しゃったようですが、私はまだなにも存じませんが、それはどういうことなのですか」

「ああまだ知らぬかもわからない」加久平はいい心持そうに頷いた、「――殿から御意のあったのは七日ばかりまえのことで、それからわれわれ重臣一統の閣議があって、そこでよかろうと決定したんで、正式の任命は四五日うちということになっているんだが、重臣方面にも評判はごく好いようなんだが……」

又四郎はさすが悪い気持はしなかった。けれども用向は用向である。彼はまた暫く加久平の饒舌の切れ目を覘ったうえ、ようやくその機を捉えて訪問の目的を述べた。

「ああおる、家におります、妹は独身でおります」話の腰を折られて相手は妙な顔をした、「なにか用事があるなら呼ばせましょう」