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すかいさんきこう

皇海山紀行

木暮 理太郎

「山岳 一六の三」1923(大正12)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,720 字 · 24 页

青空文庫

ひまをみて帳場に行き、主人に皇海山のことを聞いた。よくは知らぬがこの先の不動沢から登れるそうだとのことで、伐採が入っているから路があるかも知れぬと附け足した。何にしても登れることは確かだ。それで乾し物に全力を注いだが、翌朝になっても全部乾燥しなかった。

十九日の朝も依然として食慾がない。辛くも一椀を挙げ、また干し物に手間取って出発したのは午前八時五十分であった。家の前を少し西に行き、右に折れて砥沢を渡り、坂を登り切ると尾根の上の少し平な所に出る。東北に黒木の繁った皇海山の姿が初めて近く望まれた。延間峠の方へは一条の径とともに鉄索が通じている。その方面の山はことごとく伐り払われて、今不動沢が正に伐木の最中である。下りはかなり急であった。九時五十分不動沢着。沢の両岸には半永久的の小屋が散在している。小屋の前で働いていた老人にまた皇海のことを聞いてみた。その話によると、皇海山の西の鞍部から頂上へかけて切明けがある。そして平滝からその鞍部への道と通じているから其処へ出て登れば楽である。まだ登っては見ぬが頂上には剣が奉納してあると聞いたと教えてくれた。地図と対照して実際の地形を視ると、皇海山の西方から発源する不動沢の左股を遡るのが楽でもあり、かつ都合もよいように思われるので、それを登ることとして沢を渡り、道に沿う