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しょうせんでんしゃのしゃげきしゅ
省線電車の射撃手
海野 十三
「新青年」博文館、1931(昭和6)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,355 字 · 45 页
「課長、こっちに殺されています」と悄気かえった多田刑事が案内した。
「龍子はどうした」
「目黒で降りたようです」
「屍体なんか、どうでもよいから、今度からは龍子を其の場でとりおさえるんだぞ」
「課長、例の十字架に髑髏の標章の入った小布が、死体の袂の中から出てきました」
第二の犠牲者二ツ木兼子は二十歳あまりの和服すがたの丸ぽちゃ美人だった。
「弾丸は、この窓から、とんで入ったらしいです」
「地点はどうかッ!」
「昨日の一宮かおるの場合と全く同じなんです」
「ううむ」警部は呻った。
「専務車掌は倉内銀次郎か、どうか」
「違います。倉内は今日非番で、出てこないそうです」
そう言っているところへ、赤と金との筋の入った帽子を被った助役が、真蒼になって、とびこんできた。
「警視庁の方、ももも申し上げます」
「どうしたかッ」大江山警部は、ギョッとふりかえって、一喝した。
「唯今、プラットホームへ入って来た上り電車で、乗客がまた一名射殺されました」
「なに、又殺されたッ、女か男か」
「奥様風の二十四五になる婦人です」
「上り電車の窓は皆締めるよう、エビス駅長へ警告しろッ」
「ハッ、でもこの暑さでは……」