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まひるのおばけ
真昼のお化け
小川 未明
「お話の木」1937(昭和12)年8月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 7,904 字 · 16 页
先のが、かぶとむし、つぎは、さいかち、そのつぎは、えび、そのつぎが、ボーオ、ボーオと鳴くおたま、……光一の目には、みんな虫になって見えたのであります。
もう、両側の店には、燈火がついて、大空は、紫水晶のように暗くなっていました。
光一は、かね子さんに、昼間見たおたまの話をすると、
「そんな、おたまなんかないわ。」と、かね子さんは、すげなくいいました。
「あの、おじいさんから、おたまを買っていたらなあ。」と、光一は、残念でなりません。
「かね子さんさえ信じないのだから、きょうのことを勇ちゃんに話したら、勇ちゃんも、きっと、そんなおたまはないというだろう。そして、光ちゃんは、またみょうな夢を見たといって笑うだろう……。」
そう考えると、光一は、頼りなく、さびしかったのでした。そして、この世の中には、自分にだけ信じられて、他の人には、どうしてもわからない、不思議なことがあるものだということを、彼は、しみじみと感じたのでありました。