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むじゅんとそのがいどく
矛盾とその害毒
宮本 百合子
憲法改正草案について
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,198 字 · 7 页
新聞に、憲法改正草案が発表されたとき、一番奇妙に感じたことは、「主権在民」と特別カッコの別見出しがつけられていたのに、天皇という項があって、その唯一人の者が九つの大権を与えられていることであった。
短い小説一つにしろ、それが小説であるからには、テーマが一貫している、ということが第一条件である。どんな通俗作家でも、小説の主人公が、突然中途からすりかえられているような分裂した作品は、通用しないことを知っている。
憲法は一国の政治の基準をなす重大なものだのに、草案の起草者たちは、常識からも明白なこの誤り・失敗について、どうして平気なのだろうか。本当に奇怪なことだと思った。
草案第十三条に「すべて国民は法の下に平等であって、人種・信条・性別・社会的身分・又は門地により政治的・経済的・又は社会的関係に於て差別を受けない。云々」とある。
なるほど、これは尤なことだとして読んだ私どもは、翻って、第一、天皇というところに、その特権の身分が世襲であり、人間としての資質如何を条件ともせずに、天皇たる世襲者が、憲法改正から法律・政令・条約の公布以下、政治上の実権の重要な点を押えていることを発見して、おどろきを深めた。