轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いしころ
石ころ
山本 周五郎
「富士」大日本雄辯會講談社、1944(昭和19)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,450 字 · 23 页
「父の口からかようなことを申すのはいかがかと思うが、だいぶ世間の評判がうるさいので念のために訊ねる、おまえはこれまでに多田淡路の二男と、……なにか、文など往来したことでもあるか」松尾はびっくりして父を見あげた。父はまぶしそうに、濃い眉の下の眼を細めながら、まるで痛いものにでも触るような声音で続けた。「女親に息子をみることはできるが、男親に娘はみられないという、おまえにはうちあけて相談をする母がないから、いろいろと思い余ることがあって途方にくれる場合もあろう、もしもそういうことから不たしなみが出来たとすれば、その責のなかばは父が負うべきものだ、おまえだけを責めようとは思わない、ただ父として正直なことが聞きたい、……云ってごらん」
松尾はおとなしくしまいまで聞いていたが、父の言葉が終るとしずかに面をあげた。
「どのような評判をお聞きあそばしたかは存じませんけれど、わたくしには少しもそのような覚えはございません」「まちがいないか、この場だけの云い繕いではないのか」「決してさようなことはございません、けれども、もしかするとあらぬ噂が立ったかも知れないと思い当ることはございました」