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いしをなぐるもの
石を投ぐるもの
宮本 百合子
「文明」1946(昭和21)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,052 字 · 9 页
新しい日本が誕生するならば、その民主的な第一日の暁に、この点が、最も根本的な人権の問題として提起されなければならないのである。
司法省の部内にも種々の動きが在ることを新聞は報じている。そして、その動きは、二枚の種板が一つの暗箱の中でずって動くように、上層官吏と下級官吏との間で、いくらかずつ異った利害をもっているのだろうとも、推察される。しかし、概括して、民主的方向へ、といわれている。民主的というのは、どういうことだろう。
この不幸な由紀子さんとその赤子との場合を例にとったならば、どういう風に全事情が理解され、取扱われたとき民主的といい得ただろうか。
検事局の係検事は、先ず自分が一人の住民として朝夕その身を痛めている交通地獄の有様をリアリスティックに思いおこすべきであった。自分も今日に生きるただの一市民として、良人であり父親である自分の幸多しとはいいようのない日常の思いを、噛みなおすべきであった。職権、或は職業的解釈より前に、一個の具体的人間であるべきであった。そういう風に心が生きて生活にふれていれば――生活の自覚に充たされているならば、誰にしろ、敢て「最初に石をなげる者」