轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

すずりとすみ

硯と墨

中谷 宇吉郎

「座右宝」1946(昭和21)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,996 字 · 22 页

青空文庫

そういう状態で、墨の表層は、罅の深さ即ち一万分の一ミリ程度の直径の粒子に崩壊して水中に溶け出る。寺田先生は前に粉体の物理的性質を研究されたことがあって、粉体の層に罅がはいる時には、罅の深さと同じくらいの間隔で、沢山の割れ目がはいることを見出された。墨の場合にもそれと同様な現象が、超顕微鏡的規模で起るものと解釈すると、磨墨の機構がよく了解出来るのである。

以上で寺田先生の硯と墨の研究は終っている。第三の論文、即ち墨の粒子の電気的性質の研究は、未完成でもあり、今の場合直接の興味も少ないので略することとする。

ところでこの一系の研究は、墨や硯を純粋に物理学の対象として為されたものである。しかしこれだけのことがわかって来ると、名墨や名硯の研究を、こういう調子にやってみたいという慾が起きて来る。昨年まではそういうことを言うと、時局を弁えないというきついお叱りを受けたことであろうし、また事実そんなことをやるべきでもなかった。しかしこれからの日本には、名墨の墨色の研究などというのは、恰好の題目であるかもしれない。

墨の濃い場合は、墨色の差はわれわれ普通の素人には、よく注意して見なければわからない。