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しゃかいじひょう
社会時評
戸坂 潤
「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页
何も之は、府庁自身の内部に問題が波及しそうだからそう云うのではないだろう。そして教育界全体の意向は、警察当局の教育上無責任な検挙方針が、無邪気な児童の気持を傷けることに、斉しく不満の意を表している。それから又、某校長の懐中から部下の女教員から来た恋文が出たという話を披露した警視庁は、府会で、将来はこうした私行の暴露を慎む旨の、言質を取られている。
こうなって来ると、問題は、警察当局の検挙行為に対する批判に変って来るのである。思うに教育界が、飲食店やダンスホールと同じに、警察に取っては最も手頃の手答えのある活動場面であることが判ったためだろう。社会は先生に対して、特別な道徳上の迷信を有っている。この迷信がこの際、警察権を道徳的に色揚げするには百パーセントの効果を有っているのである。
二、風紀取締
学校の先生は尊敬されているが、ダンスホールの先生は軽蔑されている。世間の道徳意識によると、学校教育は神聖だが、ダンスホールは怪しげな卑しいものだ。そこで、ダンスホールに手を入れることも亦、こうした道徳意識を刺※して、警察権を道徳的に色揚げするには持って来いでないだろうか。