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しゃかいじひょう

社会時評

戸坂 潤

「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页

青空文庫

さて有為な青年は仲々多いものと見えて、学校当局の折紙づきの卒業生が二千名も受験したそうである。受験場は東京・京都・仙台・福岡・京城の五カ処だから、まずオール日本青年代表の選定という慨がないでもない。――処が有為な青年は実の処、又案外少ないものらしく、わずかに十七名(いずれも帝大出身)だけが選定されたに過ぎなかったのである。あまり出鱈目だというのでわざわざ満州国にまで押し渡って先方の当局にねじ込んだり、内地の当局に抗議を申し込んだりした青年もいたそうである。併し何と云っても、有為な青年がとにかく十七人しかいなかったのだとすれば、怒っても仕ようがないのではないかと私は思っている。

満州国官吏は無論男の場合であるが、それが女の場合になると、満州サービスガールがある。今年の一月に親切で有名な東京飯田橋職業紹介所の鳴物入りの宣伝で、之は千人程の中から選ばれた三十二人の代表的インテリガールが、「帝国ホテルよりも大きな」ハルピンのアジア・ホテルのサービスガールとなって送られて行った。この有為な女子青年達からなる「挺身隊」は無論、東洋の到る処に進出して国威を発揚している例の種の娘子軍などではない筈であった。