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しゃかいじひょう

社会時評

戸坂 潤

「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页

青空文庫

(東朝七月二十八日付)云々。――実際にはどんな風に言ったのだが判らない処もあるが、とに角以上のような言葉が甚だしく警視庁の主脳部を憤慨させたらしい。警視庁の業務執行に立ち入ることが以ての外で、そう云えば賞与贈呈ということが元来不遜だというのが、警視庁の憤慨の根拠である。

業務執行に立ち入ると云っても、之を褒めたのなら無論問題にはならなかったろうし、又後になってから賞与贈呈が不遜だと云うのも辻褄が合わないが、それはとに角として、警視庁の方針を否定する後援会ならば潰して了えという意見さえ出るようなわけである。処で矢野氏自身は初め、警察当局に忠言を呈したので、それが悪るければ理事は辞める、寄付をしたり叱られたりしては割が合わぬよ、と云っていたが、併し穏便を第一と考えたのだろう、遂に警視庁に出頭して、後援会の理事をやめるから何分穏便に取り計らって戴きたいと陳謝したので、警察当局は矢野氏を許してやったのである。警視庁という処は本当に偉い所なのである。

思うに矢野氏及び警察後援会の人達の間には、一つの感違いが初めからあったのだ。と云うのは、大衆が警察を後援し得るものだと初めから仮定してかかったことが、こうした脱線の原因なのである。