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しゃかいじひょう
社会時評
戸坂 潤
「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页
警察の方では自分を大衆と一つになどは考えていない。警察は大衆と一体などではなくて、大衆を警察する処のものでなくてはなるまい。だからもし万一後援会なるものが許されるとすれば、それは完全に警察の云う通り注文通りになるべきであって、いやしくも警察外から忠言を呈したり注文をつけたりするような警察「後援会」はあり得ない筈だ。処が警察の外にありながら警察と一体であるようなものでなければ警察後援会という言葉の意味に合わない筈だから、つまり警察後援会なるものは論理的に不成立だということになる。まして、後援会の中に、矢野氏と同意見の不埓な人間が多数いるようでは、後援会は後援会ではない。後援会無用論は、警察と大衆とが一体でない以上、論理的に首尾一貫している。勝は警視庁の側に上らなければならぬ。
もし警察後援会の代りに、警察オブザーバー会とでもいうべきものを造ったのだったら、矢野氏もあんな不体裁な目を見ずに済んだろう。警察に対して大衆が之をオブザーブするのである。無論この際は警察が大衆と一体だなどという仮説は成り立たないが。そうすれば矢野氏はもっと首尾一貫した立場から、警察に忠言を与えたり賞与を与えたりすることが出来たろう。