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しゃかいじひょう
社会時評
戸坂 潤
「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页
市当局者の親心は無論この消息を知らないのではない。彼等は今度の整理で市の財政が立ち直るなどとは夢にも信じてはいない。だがいくらそうでも、とかく気休めと一時逃れというものは好ましいものだ。処が気休めや一時逃れのための犠牲とするには、自分達親心の所有者達の一身はあまりに貴重だ。そこで従業員の生活がこの気休めと一時逃れのモルヒネの注射としての犠牲に供されねばならぬわけとなったのである。思えば山下局長の心事誠に悲壮なものがあるではないか。
さて市電市バスの同盟罷業だが、争議団は東交幹部四十五名の解傭や、一般解傭の威嚇や、従業申し出での誘惑にも拘らず、一糸乱れず合理的に且つ合法的に罷業を行っていると伝えられている。尤も内部にも東交と日交との区別はあるらしく、市当局が最後会見を申し込んだ時、日交代表だけはノコノコ出かけて行ったし、又同じくこの日交の幹部三人が、争議の真最中に独立に警視庁官房主事を訪問などしていて、意味の通じない談話を新聞に載せるなどしてはいるが、争議団大衆は極めて組織的であるように見受けられる。だが問題は相不変今度も、各種の外部市民からのスキャッブだ。