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しゃかいじひょう

社会時評

戸坂 潤

「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页

青空文庫

即ち(一)道義的経済観念に立脚して国家国民全体の慶福を増進すること、(二)国民全部に勤労に応ずる所得を得させること、(三)金融と産業の制変運営を改善して資源開発・産業振興・貿易促進、それから国防の充実、(四)国家の要求に反せぬ限り個人の創業と「企業欲」を満足させてそれで勤労心を振興させること、(五)公租公課を公正にすること、などになる――注目すべきは資本家打倒とも政党撲滅とも云っていないことで、実業家や政治家は之を見て何だって怒り出したのか気が知れない。

或る一群のブルジョア・イデオローグは之を見て国家社会主義の宣言だと極言する。併し他のもっと冷静な経済学者達は、そんな危険なものではなくて単に統制経済を唱導するものに他ならぬと云うのである。国家社会主義が、如何に社会主義という名が付いていた処で、なぜブルジョアジーにとって「危険」なものであるかが私には今日に到ってもまだハッキリと判らないのであるが、それはとに角、資本家打倒でも政党撲滅でも、まして資本主義打倒でもなくて、却って個人の創業と企業欲とを満足させ、一方夫によって勤労者の勤労心を養成しようと云っているのだから、どこに一体実業家や政治家が怒らねばならぬ理由があるのか。