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かみさまのふとん
神様の布団
下村 千秋
「赤い鳥」赤い鳥社、1925(大正14)年4月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,585 字 · 10 页
三
やがてとうとう、その布団はもと、ある貧しい家のもので、その家族が住んでいた家の家主の手から、買い取ったものだということがわかりました。そこで宿の主人は、次のような布団の身の上話をきくことが出来ました。
三
その布団の持ち主の住んでいた家の家賃は、その頃ただの六十銭でした。それだけでもどんなにみすぼらしい家かはおわかりでしょう。しかしそれほどの家賃の支払いにも困るほどこの家族は貧乏なのでした。というのも、母親は病気で長い間床についたきりでしたし、そのうえにまだ働くことの出来ない二人の子供――六つの女の子と八つになる男の子があり、父親は体が弱くて思うように働くことが出来なかったからです。またこの家族は、頼るべき親戚や知り合いが鳥取の町中に一人もありませんでした。
ある冬の日のこと、父親は仕事から帰って来て、気分が悪いと言って床についたなり、病は急に重くなって、それきり頭が上がらなくなりました。そして一週間ほど薬ものめずにわずらってとうとう死んでしまいました。二人の子供を残された母親は床の中で毎日泣いていましたが、間もなく病が重くなり、母親もついに亡くなってしまったのです。