轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

わたしのせんせい

私の先生

林 芙美子

「文芸首都」1935(昭和10)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,888 字 · 6 页

青空文庫

私の組で珠算のきらいなのは、私と川添と云う少女と、森先生とであったので、たいていは級長が問題を出して皆にやらしていた。

森要人先生は、その女学校でもたいした重要なひとでもないらしく、朝礼の時間でも、庭の隅に呆んやり立っていられた。課外に、森先生に漢文をならうのは私一人であったが、ちっとも面倒がらないで、理科室や裁縫室で一時間位ずつ教えを受けた。頭の禿げあがったひとで、組でもおぼろ月夜とあだ名していたが、大変無口で私たちを叱ったことがなかった。

秋になって性行調査と云うのが全校にあって、毎日一人か二人ずつ受持ちの教師に呼ばれて色々なことをたずねられるのであったが、私たちはまだ一年生で恋人もなければ同性愛もなく、別にとりたてて調べることもないのであったが一人ずつ呼ばれた。私も何人めかに呼ばれて、森先生は呆んやりした何時もの日向ぼっこのしせいで「どんな本を読んでいるか」とたずねた。私は『復活』と『書生かたぎ』と云うのを読んでいると云ったら、すこし早すぎるとそれだけであった。

森先生は、私たちが二年になると千葉の木更津中学へ転任してゆかれた。めだたないひとだったので誰も悲しまなかった。