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わたしのたんていしょうせつ
私の探偵小説
「宝石 第二巻第六号」1947(昭和22)年6月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,825 字 · 4 页
批評家は本来公式で割切る人であり、特に平野名人の如く、系列だの分類というものが生れついて身についている特異体質の悪童は、可能性などという余計な邪魔物に全然患わされるところがないから、黙って坐ればピタリと当てるというように、犯人を当ててしまうのである。
この犯人の当てっこをやって私が驚いたのは、日本の作家の作品には、このゲームに適する作品が全然ないということだった。ミステリイの要素が主で、推理は従である。浜尾四郎氏の作品や「船富家の惨劇」などは推理小説だけれども無理が多い。これは日本の法律とか警察制度とか風俗習慣が全然外国と違っているのに外国流を直輸入して無理に当てはめるための破綻で、怪しい奴は有無を言わさずみんなブタ箱へ入れておいて、証拠などは二の次に白状させるという習慣が厳存しているのだから、名探偵登場の余地がなかったのも尤もな次第であった。
私は然し探偵小説を愛好するのはその推理に於てで、従って、私は探偵小説をゲームと解している。作者と読者の智恵比べ、ゲームというように。
だから専門の知識を必要としなければ謎の解けないような作品は上等品とは思われないので、たとえばある毒薬の特別の性質が鍵である場合には、その特質をちゃんと与えておいて、それでも尚、読者と智恵を競い得るだけの用意がなければならぬと考える