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わたしはだれ?
私は誰?
「新生 第三巻第二号」1947(昭和22)年3月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,584 字 · 14 页
のところへ私が居候に行って、居候の居候というのは珍しい。けれども非常に居心持のよいものだ。そうだろう。先様が居候なのだから、身につまされて、又居候をいたわること甚大だからである。居候をするなら、居候のところへ居候するに限るものだ。然し、実際、牧野信一ぐらい居候を大切にし、いたわった人はない。豊島与志雄先生が、そういう点で牧野さんに似ているような気がする。豊島さんは僕に言う。君、遊びにきなさい。真夜中に。行くところがなくなった時。そう言うのである。こういう風に言わねばならぬ豊島さんは淋しい人だ。本性はよくよくタンデキ派に相違なく、放浪者に相違ないので、牧野さんも豊島さんも、ハイカラで、気どりやさんで、ダンディで、極度に気が弱い。けれども私は決して深夜に豊島さんを叩き起さないのは、生命にかゝわるからで、先生はガバと起き、碁盤をもちだし、私がどんなに疲れていても、夜が明け、日が暮れるまで、かんべんしてくれないことが分りきっているからである。
牧野信一は真夜中に中戸川吉二を叩き起して、中戸川に絶交を申し渡されたことがあったが、私は真夜中に叩き起されて怒る人はきらいだ。