轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

13 黒白帖

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,638 字 · 233 页

青空文庫

そのうえ、ちかごろ、尊氏方の大族、山名時氏父子が、佐々木道誉と不和をかもして、南朝方へ奔ってしまった。

山名の本拠は但馬である。――さきに石見に落ちていた足利直冬とむすび、伯耆、出雲の兵をあつめて、それはたちまち、京都をおびやかす一団の疾風雲になり出していた。

佐殿方(直冬の称)

と、この雲は呼ばれた。

佐殿方には、自然、さきの直義党の残党はみな加わった。桃井直常、斯波高経らも北国の兵をあげて応じ、またも京都は、あやうくなった。

尊氏は、義詮へ、

「洛中の兵をみな引っさげて播磨へ向え。遠国の味方を待っていては間にあわぬ」

と、すぐ急がせた。

そして彼自身も、さきの例があるので、やがて新帝の後光厳を奉じ、われから京都を捨てて出、近江の武佐寺で、その年の正月をこえた。

尊氏は、自身の健康をいつか意にもしなくなっていた。運命が彼を引きずり廻し、皮肉な健康をしいて彼に授けていたのだ。しかし彼をめぐる諸将は「めっきりおすこやかになった。また一ト頃よりもずんとお肥えになられた」といって祝福した。一個の大器が、百戦百難の風雪を凌いで、年もようやく五十路に入り、いよいよその風貌にも年輪の威を加えてきたものとみな頼もしく見ていたのである。