轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

13 黒白帖

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,638 字 · 233 页

青空文庫

職屋敷始まって、始めてのことであろう。

――検校以下、別当、勾当、座頭が一堂に集まって、しかも丑満下がり、おのおの琵琶を抱いて、故人の亡魂をなぐさめるため、当道の秘曲をささげるなどの例は稀れにもなかったことである。

大床に居ながれた盲人四十余名は、やがて上座にある明石の検校の、

「いざ」

というあいずを聞くと、各自、うしろにおいていた琵琶のふくろを解いて、絃を調べ出した。そしてしばらくは大勢の絃のしらべや転手を締める音などで床はただ水の乱声するような風情でしかない。

が、すぐ粛となる。

そしてみな、仁山大居士の位牌の方へ坐を向け直して一せいに低い礼をする。

検校の撥に始まって、四十数面の琵琶がいちどに奏でられ出した。詞は平曲のうちでもきわめて淡々と無常を謡い上げている筋のない一節であり、歌詞はないにひとしいくらいなものだった。けれど四絃の変化と音色は当道覚一流の玄妙をつくして余すところもなかった。

そもそもまだ覚一も小法師の頃から、彼の、黒い網膜に映じていたこの国の内乱と諸相は、彼の琵琶にもつよい影響を与えずにいなかった。

彼の悲泣は絃に宿って人の世の黒業白業を傷む曲となっていた。