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かがくほうほうろん
科学方法論
戸坂 潤
「科学方法論」岩波書店、1929(昭和4)年6月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,035 字 · 284 页
かくて今さし当り学問性の規定として残されるものは説明し得るという夫である。この規定が、アリストテレスの『形而上学』の始めに指摘されている処の、教え得るという学問性の規定と直接に関連し得ることを、吾々は見逃すことが出来ない。
教え得る(従って又学び得る)という学問性の規定――教導性――は様々に解釈出来るであろう。吾々は少くとも二つの場合を区別することが出来ると思う。学問が学問である以上或る人が築き上げた学問は他の或る人によって伝承されることが出来るというのがその一つである。というのは、成る程他人の業績をそのまま無批判に受けとることはどのような場合にも許されないが、併しそれが学問を有つからには、他人のその労作を一つ一つ実地に繰り返さなくても、自分にとって信頼すべき確実な遺産としてそれを所有することが出来、又は他の視角に於て他人の功績或いは失敗を再び繰り返す無用を節約することが出来、従ってこれを基礎として自分の研究を進めることが出来る筈である、というのが第一の場合である。茲にあるものは伝習の可能性である。――之を伝承性と呼ぶこととしよう。之に対して第二は、学問が学問である以上、まだその学問の語る理論に到達していない処の人々(尤もあまりにそれから距たっているものは別として)をして、之に通達せしめる通路を示し、之