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かがくろん

科学論

戸坂 潤

「唯物論全書 第一巻」三笠書房、1935(昭和10)年10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 142,817 字 · 278 页

青空文庫

労働手段の体系が技術だという概念の決め方は見当違いでなくてはならぬ。併し又、もしこの体系という言葉が、個々の労働手段の加算以上の何かのプラスを意味するのなら(無論そうなければいけないだろうが)、この何等かのプラスなるものが何かという疑問が残るのである。そして単に、技術が労働手段の体系だと云っただけではこの疑問を解くことは出来ない。この何等かのプラス、「体系」という言葉が云い現わすXは何等か技術的なもの(単なる道具や機械ではなくて之に体系的に結びついた処の)だとでも云う他はあるまい。だがこれでは、「労働手段の体系」というのは、技術を説明するものではなくて、却って逆に、「技術的なもの」によって初めて説明され得るような観念でしかない、ということになる。

思うに、労働手段の体系は、所謂技術そのものではなくて、単に技術的なるもの、生産力にぞくする労働手段に於ける例の技術性、の表現でなければならないだろう。生産力の一定の技術性(技術自身ではなく)こそ、「労働手段の体系」が云い表わす現物なのである。では所謂技術・技術そのもの、とは何かというと、之は単に生産力や或いは又それの直接の結果であり形式である処の生産関係などの領域だけに止まらず、広く社会的規模に於て理解されている一つの常識概念であって、云わば社会の一般的な(独り