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くうちゅうふんぼ

空中墳墓

海野 十三

「新青年」博文館、1928(昭和3)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,986 字 · 28 页

青空文庫

相良十吉はこの間にハッと表情を暗くしたようであった。

「実はそれも一つ困っている点なのです。御承知かも知れませんが、あの事件からずっと風間夫人、すま子と言います、それを私が引きとって世話をしています。只今は戸籍面も私の妻になっていますし、真弓という二十になる娘もあるようなわけです」

「なるほど、風間氏が生きていたら、甚だ事面倒になるわけですな」

「そのことについては私はもう決心をしています。だが風間は生きていましょうか。すま子には、まだ何事も話をしていないのです」

「よく調べて見ましょう。――それからもう一つ伺いたいのです。あなたは松風号のどの部分を御設計でしたか」

「プロペラです」

と十吉は、はき出すように答えた。

「プロペラの試験は、一番調子がよいとほめられた位です。あの設計は丸一年かかりました」

「それで只今のお仕事は」

「今は航空研究所の依頼品を監督して組立中です。何ものであるかは一寸申上げられませんが、航空機であることはたしかです」

私のききたいことは終った。相良は松風号の行方不明に関する切抜記事帳を、参考にまでと言って私に差出したが、私は書棚の奥から、それの三倍もある松風号事件参考簿を見せてそれを断った。