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くうちゅうふんぼ
空中墳墓
海野 十三
「新青年」博文館、1928(昭和3)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,986 字 · 28 页
相良は一寸いやな顔をした。
「ではいつ御返事願えましょうか」
「明晩までに」
私は驚く相良を尻目にかけて、きっぱり言った。
「当日お電話しますから、どこへもお出掛けないように」
相良が心配そうな顔をして室を出てゆくと入れちがいに執事の矢口が姿をあらわした。
「根賀地さんから、お電話です」
私は電話室の中に飛びこんだ。遠視電話のスクリーンには部下の根賀地の待ちくたびれた顔があった。私等は読唇術で用談を片付けた。
「馬車を……。矢口」
私はこの古風な乗物に揺られ乍ら推理をすすめて行くのが好きだった。
「中央天文台へ」
私は上機嫌で命じた。中央天文台までは、ここからたっぷり二時間はかかるのであった。
翌日は相良十吉に報告を約束した日だった。その朝も私は例のごとく十時に起きて、二三の訪客に接した。正午を過ぎると研究室に入って夕方まで机上執務を続けた。
そこへ中央天文台にやってある根賀地囃が一枚の天文写真を持って入って来た。その写真は私の気に入らなかった。今度は相良十吉を遠視電話でよび出すと、彼に六時頃新宿の十字路街で私の自動車を待っていて呉れるように伝えた。彼の顔色は前日に増して悪かった。