轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
くうちゅうひょうりゅういっしゅうかん
空中漂流一週間
海野 十三
「名作」1939(昭和14)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,324 字 · 35 页
二人の頭のうえからも、小さい滝がじゃあじゃあと落ちてくる。仰げども見えないけれど、気球に溜った水滴が集って、上からおちてくるのであろう。が、なにしろなにも見えない。ゴンドラの中まで、磨硝子を隔てて見ているような調子だ。キンチャコフは、このときとばかりに、顔のうえを流れおちる雨水を、長い舌でべろべろ嘗めまわしている。
密雲が下にある間や、その密雲の中をくぐりぬけている間は、そうでもなかったけれど、気球が密雲をすりぬけて、それを上に仰ぐようになったとたんに、俄かに墜落感がつよく感ぜられた。眼下はひろびろとした一面の海原であった。そして海面までは案外近くて、ものの四五百メートルしかない。
「ああ、海だ」
「おお海だ。どこの海だろうか」
「この色は、日本海だ」
六条のいったことは、間違いでなかった。
「日本海なら、船がたくさん通るだろう。墜落しても大丈夫助かる」
とキンチャコフは、俄かに喜色をうかべていったが、なに思ったか、ポケットから例のピストルを出して六条につきつけた。
「なにをするんだ、キンチャコフ」
「いや、嚇しではない、本気なんだ。船が見えたら、貴様は綱をひいて、気球の瓦斯を放出して下におりて、助けられるつもりだろうが、それについて、ちと注文があるんだ」