轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

くうしゅうそうそうきょく

空襲葬送曲

海野 十三

「朝日」1932(昭和7)年5月~9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 95,012 字 · 189 页

青空文庫

何万人という群が、あの広い新宿の大通にギッシリ填って、押しあい、へしあい、洪水の如く、流れ出てゆくのだった。すべては、徒歩の人間ばかりだった。円タクやトラックの暴力をもってしても、この真黒な人間の流れは、乗り切れなかった。無理に割りこんだ自動車もあったが、たちまち、人波にもまれて、橋の上から、突き落されたり、米軍の爆弾が抉りとっていった大孔の底に転がりおとされたりして、車も人も、滅茶滅茶になった。

避難民の頭上には、姿は見えないが、絶えず、飛行機のプロペラの唸りがあった。叩きつぶすような、機関銃の響が、聞えてくることもあった。何が落下するのか、屋根の上あたりに、キラキラと火花が光って、やがてバラバラと、礫のようなものが、避難民の頭上に降ってきた。

「ウ、ウ、グわーン、グわあーン」

大地が裂けるような物音が、あちらでも、こちらでもした。それは、ひっきりなしに、米軍が投げおとす爆弾の、炸裂する響だった。その度ごとに、

「キャーッ」

「こ、こ、こ、殺して呉れッ」

「あーれーッ」

と、此の世の声とは思えぬ恐ろしい悲鳴が聞えた。阿鼻叫喚とは、正に、その夜のことだったろう。