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まどにさすかげ

窓にさす影

豊島 与志雄

「小説公園」1952(昭和27)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,068 字 · 26 页

青空文庫

「お祖母さま、あたしね、面白い話を考えついたのよ。」

祖母は弱々しい微笑を浮べた。

「どんなこと。話してごらんなさい。」

「あたしが考え出したのか、何かで読んだのか、それは分らないけれど……。」

私はへんに頬が熱くなる思いだった。それを押し切って、のっぺらぽうの顔の話をした。やはり男と女のことにはしたが、愛し合ってるということは省いた。

祖母はかすかに頷きながら聞いてくれたが、話がすんでも何とも言わなかった。

「ね、お祖母さま、こんな話、どこかでお聞きなすったことありませんの。」

祖母は頭を振って、天井の方へ眼をやっていたが、暫くして言った。

「あんたが拵えたのでないとすると、そのお話は、日本のものより、西洋のものらしいね。それとも、あんたが拵えたの。」

祖母は私の方へ顔を向けて、私をしげしげと見た。私は気恥しくなって、言い直した。

「分ったわ。やっぱり、あたしが拵え出した話じゃないの。その証拠には、ね、お祖母さま……。」

私はとうとう、窓にさした物影、のっぺらぽうの顔のことを、打ち明けてしまった。

祖母はちらと眉根を寄せて、溜息をつくように言った。

「そんなのは、いけないよ。