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たてふだ

立札

豊島 与志雄

――近代伝説――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,218 字 · 21 页

青空文庫

」

「身体でぶつかってゆくのだ。今になってお前は、何ということをいうんだ。あの連中はどうしてるんだ。」

「日頃の通りにさしておきました。匪賊どもがやって来ても、ただ素知らぬ風をしているようにいいつけておきました。」

「全然話が違う。お前は、この町を、盗賊どもに踏み荒させて、それでよいと思うのか。」

「さほど踏み荒しもしますまい。こちらではただ、わきを向いておればよろしいでしょう。」

「そして、俺の倉庫はどうなるのだ。俺の物貨はどうなるのだ。」

「まあ大丈夫のつもりであります。穀物の類と毛織物の類がおもなものですから……。」

「それだ。俺が買い込むつもりだったのは、鑵詰類と綿布類だった。それを、穀物と毛織物に切替えたのは、お前の仕業だな。」

「いえ、初めからそういう御註文だったのではございませんか。匪賊どもは、鑵詰は便利だから掠奪しますが、穀物は調理に手数がかかりますから、あまり沢山は持ち去りませんし、また、毛織物は本能的にきらって、綿布に執着するものだと、そういうお考えのように存じておりましたから、お考え通りに取計らいましたのです。」

「誰が考えたんだ。お前一人の考えだろう。