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どうわのしてきかち

童話の詩的価値

小川 未明

「金の輪」南北社、1919(大正8)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,579 字 · 6 页

青空文庫

殊に子供にとっては、このことは全く不自然でないと思われます。すべて命のあるものには霊魂の共鳴がなくてはなりません。しかし其れには、愛よりも、無邪気ということがこの神秘の関門をくぐる唯一の鍵であります。

子供程ロマンチシストはありません。誰でも一度は子供の時代があったのです。どんな心の醜悪な人間も、実利主義者も、また悪人も、ロマンチシストであったのです。

この子供の心境を思想上の故郷とし、子供の信仰と裁断と、観念の上に人生の哲学を置いて書かれたものは私達の求める「童話」であります。

自由な世界――創造の世界――神秘の世界――これが即ち童話であります。

永遠に対する憧れと、はかない、しかし常に若やかな美と、この生活の慰藉とを、私は、自ら童話の世界に於て求めるより他に途のないことを思います。

さるにても、不思議なる一事は、空想の世界、連想、幻想の世界であります。

ここに私は、自身の連想から、空想の眼に描かれる二つの風景をしるします。

田舎から来た、近所の下女が幼児の守をしながら子守唄をうたって、私のいる二階の窓の下を通ります。――必ずしも、この時に限ったことでなく、この都会のどの路を歩いている時にでも――この何となくメランコリーな唄の節を聞くと、私は、曾て其れと同じい景色は、見たことも出来ないのですが、其処に