轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
わらわれそうなはなし
笑われそうな話
山本 周五郎
「あまカラ」甘辛社、1961(昭和36)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,110 字 · 7 页
私に新らしいたのしみが一つ殖えた。マディラ(タイプと断わってある)という赤ブドー酒をみつけたことだ。今年の春ころ、「そういう印のブドー酒を売っている」と聞いたときには、マンティリアのマディラという名が、なにかしらうさん臭く感じられたので、まあよしておこうと答えた。ところが十月はじめになって、青年Kがそのブドー酒を買って来た。半ばばかにしながら啜ってみるとたいへんうまい、口腔から喉頭まで、やわらかくしみこむような味わいである。香りもやわらかであり、これまでに飲んだ和製ブドー酒のどれにも似ない、本当の「ヴァン」らしい「ヴァン」という感じがした。
「こいつは傑作だ、うまいね」と私はKに言った。「まるで古酒といった感じだよ、こんなうまいブドー酒が日本で出来るのかね」
Kは黙ってにやにやしていた。
「うまいよ」私は二杯めを啜りながら、また言った。「本場のマディラは飲んだことがないからわからないが、スペインなんて気候も人情も荒っぽいところだろう、とすれば本場のやつにこんな味は出ないと思うね」私はまた一口啜って唸った。「うん、うまい、こいつは本物だよ」
私は日本酒はたまに少量しか飲まない。