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わらわれそうなはなし
笑われそうな話
山本 周五郎
「あまカラ」甘辛社、1961(昭和36)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,110 字 · 7 页
「おい、ひでえことをするな」と雄三はむっとして言った。「おれは鍋底を食おうと思えばこそ、肉は遠慮して三片しか食べなかったんだぞ、そんな君、無慈悲なことってあるかい」
私がこの話を聞いたのは、それから十余年も経ってからのことだから驚いたものだ。
話をマディラに戻そう。私はこんども友人たちに吹聴した。私は母から「念仏と食べ物は一と口ずつでも」という言葉によって、うまい物は一と口でも人といっしょに味わいたい。という習性を身に付けられたので、珍しい物があると身辺の人たちに配るか、吹聴するかしないと気が済まない。マディラはヘルメスのときよりも好評で、すなわち二人愛飲者ができた。――これだけのものを作りながら、広告をみかけないのはおくゆかしいと思うが、まだあまり量産ができないらしく、いま手持のものを大切にしないと、あとがすぐまにあわないらしい。T酒造会社から一銭も貰っているわけではないが、私はブドー酒好きの諸氏にぜひとおすすめする。
「だが」と私はいちおう疑問をいだくのである。「このうまさは自然のものだろうか、なにか人工的な操作が加えられたものではないだろうか」