轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
かさおりはんくろう
笠折半九郎
山本 周五郎
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社 、1941(昭和16)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,004 字 · 26 页
自分はするだけの事をしたのである、しかもその火事は偶然にも自分と小次郎との友情の証しとなって呉れた。それだけでも充分だと思った。
けれど世間の人々はそう簡単に済まさなかった。当時の昂奮が冷めて来ると、人々の眼は半九郎のうえに集りだした。
――笠折に恩賞のお沙汰がないのはどうしたのだ、彼は十七人の番士と身命を賭して、角櫓を火から救ったではないか。
――そうだ、笠折はお蔵から御秘蔵の宝物をも運び出している。
――持場を焼いた者たちでさえ恩典があったのに、もっとも手柄を立てた笠折に、なんのお沙汰もないというのは不審だ。
――なにか仔細があるのだろう。
そういう噂話が、おりに触れると半九郎の耳にも入るようになった。彼にとっては迷惑であり不愉快な話であった、自分では恩賞に漏れたことなど少しも考えてはいないし、するだけの事をしたのだという気持で落着いている、だからそんな噂を聞くと、自分までが卑しく、さもしい感じになってやりきれなかった。
ある日四五人集っているところで、またその話になったとき、半九郎は我慢ならぬという調子で云った。
「いったい貴公たちはなんの用があってそんなことをつべこべ云うのだ、拙者は恩賞を賜わるような働きはなにもしてはいないぞ、自分の責任を果したまでだ、誰でも当然なすべきことをなしただけだ、火消人足