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かさおりはんくろう

笠折半九郎

山本 周五郎

「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社 、1941(昭和16)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,004 字 · 26 页

青空文庫

拙者にはうるさいし、迷惑なんだ、それで自分はそんな火消人足のようなさもしい考えは持たぬと云ったんだ」

「では改めて訊くが、火事場の働きで恩賞にあずかった者は、火消人足も、同様だと云うんだな」

「話すことを、拙者の話すことをもっと熟く聞いて呉れ、そうではないんだ」

「そうでなければどうだと云うんだ!」

柳河三郎兵衛が大声に喚いた。

「持って廻った言訳は止めろ、我々は防火の手柄をお褒めにあずかった、御恩典を受けている。貴公の言葉は我々に取って聞きせぬ重大な意味を持っているぞ」

「恩賞を受けぬ貴公は宜いだろう、しかしその言葉は我々一同を火消人足と申したも同じことになるぞ笠折、確と返答を聞こう!」

半九郎は出来る限り自分を抑えていた、しかしどう説明しても、言葉の持っている本当の意味は分って貰えないと思った。

「ええ! 面倒だ」

半九郎は頭を振って云った。

「これだけ云っても分らないなら、どうでも好きなように解釈しろ、なんとでも勝手に僻め、拙者はそんな馬鹿な相手はもう御免だ」

「それは正気で云う挨拶か!」

「笠折、庭へ出ろ!」

伝蔵が大剣を掴みながら叫んだ。そのとき、廊下を畔田小次郎が走って来た、彼は五人が押掛けたと聞いて追って来たのである。