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かさおりはんくろう
笠折半九郎
山本 周五郎
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社 、1941(昭和16)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,004 字 · 26 页
……そのとき頼宣は伊勢へ鷹野に出たあとで、久野和泉守が留守を預かっていた。留守城のことで人数も足りなかったし、旱天続きで乾いてもいたし、おまけに珍しいほどの烈風で、城へ移った火は防ぎようもなく延焼した。
半九郎が西丸の角櫓へ馳けつけたとき、十七人の番士は一人も欠けず揃って、櫓前へ水を運んでいるところだった。……半九郎は砂丸を焼く火が、御宝庫の上にのしかかっているのを見た。
「お蔵が危い、お蔵番はいないのか」
なんども叫んだが人の姿はなかった。……彼は躊躇なく番士五人を連れて馳けつけると、鍵をうち壊して扉を明け、文字通り火を浴びながら、秘蔵の宝物を取出して角櫓へ運んだ。
「此処も危のうございます。お山へ移した方が安全でございましょう」
「此処が危いと?」
番士の言葉を半九郎は烈しく極めつけた。
「馬鹿なことを云え、このお櫓を焼いてなるか、十七人全部死んでもこのお櫓は守り通すのだ、我々の死に場所は此処だ、一歩も退くな」
すでに西丸が焼けていた。櫓の上に登った半九郎は、二の丸の大屋根を抜いて噴きあげるの柱を見た。右も左も火だった。耳を聾するような※(「陷のつくり+炎」