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だいよじげんのおとこ
第四次元の男
海野 十三
「ユーモアクラブ」1940(昭和15)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,156 字 · 18 页
どういうものか、人間というやつはすぐこうしたちぐはぐなことをやる。それはどうでもいいことだが、わたくしは、さんざん夜店をひやかし、あやしき横丁を残りなく廻りつくし、ニュース映画劇場を二つも見物し、挙句の果は今はストックおん淋しきブラック・コーヒーを一杯とって、高速度カメラでとった映画の如く、いとも鄭重なるモーションでもって一口ずつ味わいくらべつつやったもんだから、時計の針は十時を指していたが、外へ出てみると、あの雑鬧の巷が人っ子一人いないというほどでもないが、形容詞としてはそれに近いさびれ方であって、真の時刻は十二時をしたたか廻っているように思われた。(断っておくが、前の時計は、電気時計である。まさか十二時すぎまで、ブラック・コーヒーをのませる店があるものかという人には告げん、闇取引のコーヒー店あることを! これを信じない人は、後段を読むこと無用である。なぜならば、そういう人にはこれから述べようとするわたくしの真実の実話などは、到底なんのことだか信じられないであろう)
だんだんと、篩をかけてきた結果、いよいよ真相を告げておよろしい頃合となったと思うが、わたくしは、人通りまばらなる舗道のうえを歩きだした。