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だいよじげんのおとこ
第四次元の男
海野 十三
「ユーモアクラブ」1940(昭和15)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,156 字 · 18 页
わたくしのアパートは、戸塚三丁目にあるので、新宿から歩きだすと、途中で戸山ッ原のさびしい地帯を横断して帰るのが一等捷径であった。だからそのときも、従来の習慣に従って、正にそうしたのであるが、その結果、遂に戦慄すべき発見に正面衝突をしなければならなくなったのであった。
さて、わたくしは、電灯を几帳面に盡く消し去って、おそろしく大きなボール紙の函が落ちているとしか見えない某百貨店の横をすりぬけ、ついで出来のわるい凸凹の長塀としか見えない小売店街のいびきの中をよたよたと通って、ついに戸山ッ原の入口にと、さしかかった。
深夜の戸山ッ原!
それは知る人ぞ知るで、まことに静かな地帯である。地帯一帯を蔽う、くぬぎ林は、ハヤシの如くしずまりかえっているし、はき溜を置いてあるでなし、ドブ板があるでなし、リーヤ・カーが置きっ放しになっているではなし、ましてやネオンサインも看板もない。そこに在るものは、概して土で、その外、くぬぎの木と、背丈の短い雑草とキャラメルの空函ぐらい、あとは紙類がごそごそ匐っている程度である。実に一向開けない原っぱであるが、これが歌舞伎芝居なら、大ざつまを入れて、柝の音とともに浅黄幕を切っておとし、本釣りの鐘をごーんときかせたいところであるが、生憎そんなものは用意がしてなくて、唯聞えるは、草の根にすだく