轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
そこつひょうばんき
粗忽評判記
山本 周五郎
「富士」大日本雄辯會講談社、1929(昭和14)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,942 字 · 28 页
のように拵え粗忽でお逃げなされば、そなた様の未練なること世上の沙汰とお覚悟あそばせ、小萩」と達筆に書いてあった。
「相変らずだな……」久之進は眉をひそめて、「しかし、こいつは、どうもちょいと弱ったぞ」手紙を巻納めながらこう呟いた。
弱るには訳があるのだ。三人張の強弓を引くと出雲守信継が自慢の乙女、奥田小萩は久之進の許嫁なのである、――久之進の国許の家の隣村に小萩の家があって父親同士が昵懇にしているため、二人は幼少の頃からよく識っていた。小萩の父文左衛門は吹上藩国許の弓の師範で、久之進もおりに触れて教えを受けたことがある。その頃から小萩は弓いじりをしていたが、三人張を引くというのは天分があったのであろう、久之進は十五歳の時に江戸詰となって出府し、許嫁の約束はそのあとでできたものだ。吹上侯の庭さきに小萩の姿をみつけたときはまったく驚かされた。あのとき信継が妙な笑いを漏したのは、おそらく二人の関係を耳にしていたためであろうが、久之進はむろんそんなことには気付かなかった。――稚い時から肯かぬ気性だったが、三人張を引いて敵無しとは驚いた、と舌を巻いたのである。