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そこつひょうばんき
粗忽評判記
山本 周五郎
「富士」大日本雄辯會講談社、1929(昭和14)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,942 字 · 28 页
「壱岐侯には余が仔細を話そう、土産として届けるゆえたいせつにしてやれ、よいか」
久之進は平伏しながら微かに笑った。
「なんだそれは」明敬が不審そうに訊いた。
「まあよい」信継は笑いながらこう云って立った、「明日になれば自然とお分りになろう、では茶席を拝見致そうかな」
「久方ぶりで手前を笑われようか」
「喧嘩は法度としてな」
明るく笑いながら二人はつれだって茶席のほうへ立った。……それを見送る久之進の眼には、静かな、けれどいくらか誇らしげな微笑が浮んでいた。