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べにすずめ
紅すずめ
小川 未明
「早稲田文学」1921(大正10)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,210 字 · 9 页
私たちの先祖は、みんなをはげますために、笛を吹いたり、笙を鳴らしたり、また歌をうたったりしたのでした。それで、孫子の代までも、こんないい鳴き声が出されるようになったのです。あなたたちの先祖は、そのとき、やはり畑や、野原を飛びまわっていて、べつに手助けをしなかったから、のちのちまでも平凡に暮らしていなさるのです。」と、こまどりはいいました。
これを、黙って聞いていたすずめは、頭をかしげて、
「それはほんとうのことですか? まことに恥ずかしいことです。もしそうでありましたら、私はこれから日輪のいられるところまでいって、おわびをします。そうすれば、きっと日輪は私たちの先祖の怠慢をお許しくださるでしょう。そして、私は、美しい翼と、また、あなたのようないい鳴き声とを授かってきます。」と、その正直な若いすずめはいいました。こまどりは、じっと一ところを見つめて考えていましたが、
「すずめさん、それは容易なことでありません。あの日輪の輝いているところをごらんなさい。あんなに雲が早く走っているではありませんか。いつも大風が吹いているからです。あなたは、きっと、あの風のために、どこへか飛ばされてしまうにちがいない。