轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
りょくいのおんな
緑衣の女
松本 泰
「秘密探偵雑誌」1923(大正12)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,168 字 · 25 页
「そうだ。グヰンはこの土地で何事か大事な事を謀んでいるに違いない。」と彼は思った。彼女は何処へゆくか知らぬが、服装から考えても今夜はこの土地に宿る事は明かである。今更自動車の後を追ったところで、的がない訳だ。広くもないマーゲートの事であるから、明日になってから彼女の住居を突止める事にしようと思った。
彼はとある横町でようやく粗末な料理店を見付けた。
食事時間を大分過ぎていたので、僅に数える程の客があちこちの席に就いている計りであった。卓子を三側おいた彼の筋向うには、前額の禿上った男が頻りに新聞紙を読耽っていた。帳場に近い衝立の陰には、厚化粧をして頬紅を塗った怪しげな女が、愛想笑いをしながら折々泉原の方を振返っていた。女は長い巻煙草を細い指先に挟んで、軽い煙をあげている。隅の卓子では二人の青年が鼻を突合せて何事か熱心に喋合っていた。
泉原は髪の毛のちゞれた女給仕の運んでくる食物を黙々として食った。
食事が済むと、彼は幾許かの勘定を払って戸外へ出た。そして安い旅館をさがす為に、場末の町へボツ/\と歩をむけた。
下町の道路は狭隘く、飛び/\に立っている街燈が覚束ない光を敷石の上に投げていた。