轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

びとかがく

美と科学

中谷 宇吉郎

「母のくに」1958(昭和33)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,193 字 · 3 页

青空文庫

美しいという言葉を、人々はふだん何気なくつかっているが、考えてみると、美しさにはいろいろな種類のものがある。

絵や彫刻や音楽など、いわゆる芸術の世界では、美がその対象であるから、話は簡単である。目で見たり、耳で聞いたりして、美しいと感ずれば、それが美である。その感じの内容や、どういうところに美を感ずるかという話は、その先の問題である。

ところで一般には、芸術は美を対象としているし、科学は真を対象としている、といわれている。もちろんそのとおりであるが、この考え方は、誤解を招き易い。というのは、科学は美と無関係であると思われ易いという点である。

抽象的には、科学は真を対象としているが科学の内容には、美の要素が強くはいっている。それで美の立場から、これを見ることもできるのである。

その例として、雪の結晶を、顕微鏡で覗いた場合がよく引用される。あの美しい精緻をきわめた六花の結晶や、お伽の国の水晶のような六角柱の結晶など、これほど美しいものが、現世にあるかと思われるほどである。

山を埋め、野を蔽っている白一色の雪が、こういう天工の芸術品であることを、人々は知らないで、暮している。