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びじゅつがっこうじだいのおかくらせんせい

美術学校時代の岡倉先生

板谷 波山

「國華 第八三五號」國華社、1961(昭和36)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,979 字 · 16 页

青空文庫

学校では祭日にはかならずお酒を飲ませた。先生と生徒といっしょになってやるんです。祭日にかならずやるんだから。ことに正月には一抱えもある大盃で、それをみんなが飲むんです。年長者から飲みはじめましてずっと廻る。盃に何年何月飲みはじめ誰と書いて、加納さんが最年長者で飲みはじめました。何升か入るんでしょう。一人で持てんから給仕が介添えして飲む。先生は一口ぐらいずつ飲みまして、口をふいて次の先生に譲っていく。生徒は豪傑が総代で出て、頂戴しますといって最初に白井雨山が飲んで、天岡均一が飲んで、天草神来が飲み――あれはうまくなる男でしたが早く死んじゃった。しまいにはやけになって酒を飲んだようで、身体をこわして惜しいことをしました。熊本の男で、快活なおもしろい男だったんですが、生きていたらうまかったでしょう。菱田春草と仲がよかった。それから西郷孤月なんかうまかったですよ。

先生は馬に乗って学校へ来たんです。その馬なるものが後三年絵巻の武者が乗ったあの馬みたいに、漢方の医者の家にあったものをもらってきたといっていましたが、尻尾と胸のところに紫の房が下がっていて、鞍は日本の鞍です。