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しょくぎょうのふしぎ

職業のふしぎ

宮本 百合子

「新風土」1940(昭和15)年10月1日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,357 字 · 5 页

青空文庫

それらの原因こそは、明治のロマンティストたちをひきずり下した踵の重りそのものであるということは、云ってみればそれ等の作家・評論家自身に、解釈としてとうに理解されていることどもであろう。現在では、そんなことはわかりきったことだが、現実の感情として男は云々と、そこをつよみのように云われているのだと思う。

女の心持から云って一番せつない、そういうわかったようなわからなさは、何か作家・評論家という仕事の形からも影響されているのではないだろうか。文学の本質と文学の仕事をしてゆく日常の形態というものは現在のような段階ではいつも必しも一致した足どりばかりはもっていない。大体、文筆の仕事は、仕事の形として極めて孤立的だと思う。一人一人が自分の机に向ってやっていて、そのとき書いているものがごく先へ行った女性の解放論であるにしろ、それをかく最中、家の雑用に頻々と煩わされるのはやりきれなく、妻なり誰なり女手が仕事をやれる空気をつくるために求められる。

家屋の仕事だから、所謂家庭的な空気が負担で、家長的、父的位置と芸術家の心の自在な動きが撞着して、一層の孤立のため旅へ出るとして、やはり家をちゃんとしてくれる女が必要であろう。