轻松读懂日语经典作品
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はだいろのつき
肌色の月
久生 十蘭
「婦人公論」中央公論社、1957(昭和32)年4~8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 50,706 字 · 101 页
捜査一課の秀才の表現から推すと、自殺干与容疑か、自殺幇助容疑……悪くすると、偽装心中などというむずかしいところに落着くらしい形勢だった。
捜査一課は、いまのところ寛大ぶって笑っているが、いざとなったら、悚みあがるようなすごい顔を見せるのだろう。どのみち、警察へ持って行かれるのは、まちがいのないところだから、いまのうちに着換えをすましておくほうがいい。
久美子は生乾きのジャンパーや下着を腕の中に抱えとると、着換えをするために、二階の部屋へあがって行った。
死んだような静かな湖水の上で、ボートや田舟が錨繩を曳きながらユルユルと動きまわっている。それを見ているうちに、胸のあたりがムズムズして、笑いたくなった。
「マラソン競走は、あたしの負けだったわ」
寝室の扉口で大池の細君が癇癪をおこしている。
「あなたはここでなにをしているんです?……大池が死んでからまで、ベッドに這いこもうなんて、あんまり厚顔しすぎるわ。恥ということを知らないの」
母親の癇声を聞きつけて、息子なる青年が二階へ駈け上って来た。
「お母さん、みっともないから、怒鳴るのはやめてください」
「誰が怒鳴るようにしたの……あんな女の肩を持つことはないでしょう。