轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はだいろのつき

肌色の月

久生 十蘭

「婦人公論」中央公論社、1957(昭和32)年4~8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 50,706 字 · 101 页

青空文庫

はやく警察へ連れて行かせなさい。ともかく、この部屋から出てもらってちょうだい」

「出てもらいましょう……僕がよく話しますから、あなたは階下へいらっしゃい」

どんな扱いをされても、文句はない。久美子は窓のほうをむいて、しおしおと着換えにかかった。

「あなたは東洋放送の宇野久美子さんですね……テレビでお顔は見ていましたが、あなたがK・Uだとは知らなかった……何年も前から、いちどお目にかかりたいと思っていました……あなたのことは父から聞いていましたので、他人のような気がしなかったんです」

甘ったれた口調で、息子がそんなことを言っている。

「お出かけですか」

着換えをする手を休めて振返ると、階下へ行ったとばかし思っていた大池の長男が、まだ扉口に立っていた。

どこかで似た顔を見た記憶がある。

すぐ思いだした。『悪魔のような女』という映画で校長の役をやったポール・ムウリッスのある瞬間の表情……視点の定まらない、爬虫類の眠ったように動かぬ眼になる、あの瞬間の感じにそっくりだった。

「ここにお邪魔しているわけにはいかないでしょう。目ざわりでしょうしね……いつでも警察へ行けるように、支度をしているところ」