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かんぞうせんせい
肝臓先生
「文学界 第四巻第一号」1950(昭和25)年1月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,194 字 · 46 页
シュルリアリズムは拙者若年のみぎりお家の芸、はチト大きいが、アンドレ・ブルトン、フィリップ・スウポオ、ルイ・アラゴン、ポール・エリュアールetcの飜訳があるときいたら、奇妙な石ぐらいで目はくらまされないと知るべきである。事、石神(シャグジとよむよ)道祖神に関しても、拙者年来のウンチクがあって、帝釈様の御神体なぞ、余アマネクこれを知るetcの学がある。
「敗戦以来、ア※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)ン・ギャルドに御転向だね」
と、ひやかしてやったが、彼はムッとして、とりあわない。
「これは何物の石像です?」
「カンゾオ!」
「カンゾオ?」
「しかり!」
「ケスク・スラ・シニヒ?」(それは何を意味するや)
「スラ・シニヒ・モツ!」(それはモツを意味する)
「モツ?」
「モツ! セタジール(スナワチ)レバー!」
「アッ。ヤキトリ! 肝臓!」
「セッサ!」(しかり!)
シュルレアリズムのウンチクも及ばないのは仕方がない。探偵小説を書いたこともあるが、解剖を見学したこともなく、ハズカシナガラ、肝臓の形を知らない。しかし、直径一間もある石の肝臓をつくる男はキチガイだ。
「肝臓はこんな形をしているもんかね」